ユング心理学研究会

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次回ユングスタディ予告

「ユングの東洋思想論を読む」第13回 チベットの大いなる解脱の書(4)

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2024年度のユングスタディ企画は、引き続き「ユングの東洋思想論を読む」です。ユングが東洋思想について論じた様々な文章を取り上げて読んでいきます。

 今回も引き続き、「チベットの大いなる解脱の書」を読み進めていきます。

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 ■ C.G.ユング「チベットの大いなる解脱の書」(1939)

   邦訳:『東洋的瞑想の心理学』所収 湯浅泰雄・黒木幹雄訳、創元社

      1983.11(第一版)、2019.1(新装版)

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 このテキストは、チベット仏教の経典「チベットの大いなる解脱の書」の英訳書の刊行に際し、ユングが訳者からの依頼によって書いた解説です。二部構成のテキストで、第一部では西洋と東洋の思考様式の違いの問題が取り上げられ、第二部では実際の経典の内容に注解が加えられていきます。

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前回は、第一部「東洋と西洋の思考様式の違い」の終盤を読み進めました。

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 ユング心理学では、「超越的機能」と呼ばれる一連の心理的変容の過程を人間心理の内部に認めます。これは、無意識の内部で一定の過程が進行し、象徴の力によって意識の態度の偏向と混乱を補償する、というものです。

 無意識から現れる異様で受け入れがたい内容を排除することなく、衝突を受け入れて葛藤に耐えていると、この行きづまりの状態が、無意識の諸要素を組み換えていく作用を引き起こします。意識的な未決定状態の持続が、無意識の中にある新しい補償的反応をひき起こして、思いもかけないやり方で別の問題が提起されたり、すでに提起されていた問題が思いがけないしかたで修正されたりします。

 東洋が示している自己救済の可能性とは、ユング心理学的観点から見れば、この超越的機能の働きと理解することができます。

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 ユングによれば、東洋のテキストが示している「心」とは、イメージを生み出す根源の心のことであり、心の構造形式のすべてのマトリックス(ものを生み出す基盤となる母体)、全てが一体となった根源的な「一なる心」です。この宇宙的な心(普遍的な無意識)との根源的な結びつきから引き離されて、単なる個人的存在になってしまっているのが現代の西洋人のあり方であるわけですが、ユングは超越的機能こそが、西洋人が結びつきを失ってしまった「心」の領域へ、改めて接近する道筋を指し示していると考えています。

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 東洋は意識の世界を過小評価し、西洋は一なる心の世界を過小評価しています。両者の心理学的な立場を理解し、それぞれが花開かせた精神的遺産を損なうことなく、それぞれの抱えた問題に対応すること、それがユングの東洋思想論の意図するところになります。

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.※ 前回までのスタディのダイジェストは、

   以下の当会HP、および当会フェイスブックに掲載しております。

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  https://jung2012.jimdofree.com/スタディ/2023年-通期-ユングの東洋思想論を読む/

  https://www.facebook.com/ユング心理学研究会-281102485276364/

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 今回からは、第二部「テキストの注解」を読み進めます。ここからユングは、実際の経典の内容に対して注解を加えていきます。この最初の部分で特に焦点となるのが、いわゆる「一なる心」と意識との関係性の問題です。

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  案内役:白田信重、岩田明子(ユング心理学研究会)

  司会進行:海野裕美子(同) 資料協力:山口正男(同)

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  第13回:4月4日(木)19:30 〜 21:30

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 ■ テキスト: C.G.ユング「チベットの大いなる解脱の書」(1939)

   『東洋的瞑想の心理学』所収 湯浅泰雄・黒木幹雄訳、創元社

    1983.11(第一版)、2019.1(新装版)         

 ・ 適宜、英語原文、ドイツ語訳文も参照します。

 ・ テキストを読んでいない方でも、資料を見ながらの進行なので参加可能です。

 ・ シリーズ途中からでの参加でも全く問題ありません。お気軽にご参加ください。

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 ■ 参加費:1,000円

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 ・参加申込者には会の終了後、録画アーカイブを期間限定で配信する予定です。

  (諸事情により配信できない場合もありますので、あらかじめご了承ください)

 ・当会では、お申し込みいただいた後での参加者都合による返金は致しません。

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 ■ 参加方法

  オンライン参加と、配信会場での現地参加の、二種類の参加ができます。

  どちらの参加方法でも、終了後にアーカイブ配信を視聴できます。

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 (1)オンライン開催(zoomミーティングルーム形式)

  開始時間にオンラインのミーティングルームに参加します。

  配信会場とは、チャットでのやり取りや、対面での議論が可能です。

  ・開場は開始15分前の19:15です。

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 (2)配信会場での現地参加

  配信会場にお集まりいただいて現地参加できます。定員15人。

  配信会場:chez alterna(シェ・オルタナ)

    東京都中野区松が丘1丁目 17-12

    西武鉄道新宿線・新井薬師前駅より徒歩3分

  ・当日は紙資料を配布しますので、資料代500円を別途いただきます。

   (資料代は現金でご用意ください)

  ・開場は、開始一時間前の18:30です。

   (開始前までは参加者間の交流の時間となります)  

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  ※ 申し込み後に参加方法を変更したい場合には、事務局までご一報ください。

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 ■ 参加申し込みページ https://jungstudy20240404.peatix.com

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 ■ 主催:ユング心理学研究会 http://jung2012.jimdo.com/

 ■ 問い合わせ:研究会事務局 jungtokyo_info@yahoo.co.jp


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